理事長コラム「ススメのひらき」~未来を想って
今月は少しデリケートな話題ですが、避けては通れない「デジタル遺品」について考えてみたいと思います。
スマートフォンやパソコンは、今や私たちの生活に欠かせない存在となりました。便利である一方、たくさんの個人情報が詰まっており、もしもの時に家族がその対応に困ることが増えています。
「デジタル遺品」とは、スマートフォンやパソコンに保存された写真や書類、またはインターネット上のアカウント情報などのことを指します。これらは、あなたにとって大切な思い出や記録でも、整理されていないまま残されると、家族にとっては負担となるばかりか、思わぬトラブルの原因になる可能性もあります。
「まだ先のことだから大丈夫」と思うかもしれませんが、元気なうちに少しずつ整理しておくことは、家族への優しさであり、賢明な準備とも言えるでしょう。
まずは棚卸しから:アカウントとパスワードの整理

デジタル整理の第一歩は「棚卸し」です。スマートフォンやパソコンを見ながら、メール、SNS、ネットショッピング、オンラインバンクなど、利用しているサービスをリストアップしましょう。思い出せないものがあれば、クレジットカードの明細や過去のメールを参考にすると良いです。
次に、それぞれのサービスに登録しているIDやパスワードを整理します。同じパスワードを複数のサービスで使うのは避け、推測されにくいものを考えてメモを取るのが良いでしょう。メモを取る場合は、安全な場所に保管することを忘れないでください。
すべてを一度に整理する必要はありません。「今日はメールだけ」「明日は銀行のアカウント」といった具合に、少しずつ進めていきましょう。焦らず、ご自身のペースで取り組むことが大切です。
スマホやパソコンのロックを解除:パスコードの共有

パスコードは「最後の砦」とも言える、デジタル整理の中でも特に重要な部分です。日頃は皆様の情報をしっかり守ってくれる頼もしい存在ですが、同時に、ご家族が開けられない扉にもなり得ます。もしもの時、ご家族がパスコードを知らなければ、大切な写真や連絡先、予定などにアクセスできず、困ってしまうことでしょう。
パスコードを共有する方法はいくつかあります。信頼できる家族に直接伝えるのが一つの方法です。また、紙に書いて安全な場所に保管する方法もありますが、その際は、家族だけが知っている場所にしまうようにしましょう。
パスコードの共有に関しては、家族とよく話し合い、最適な方法を選ぶことが大切です。
不要なアカウントの解約

長期間使っていないサービスは、解約することを検討しましょう。放置しておくと、個人情報が漏れるリスクや、不正利用される危険性が高まります。また、月額料金が発生している場合は、無駄な費用を払い続けることになります。
解約手続きは、サービスによって異なりますが、多くの場合、オンラインで簡単に行えます。解約方法が分からない場合は、サービスのヘルプページを参照するか、カスタマーサポートに問い合わせましょう。
定期的にアカウントを見直し、不要なものは整理する習慣をつけることが、家族の負担を減らすことにもつながります。
まとめ

デジタルの世界では、たくさんの情報が少しずつ増えていきます。整理をしないままにしていると、後で家族に大きな負担をかけてしまうことがあるので、今から少しずつ始めることが大切です。スマートフォンのパスコードや、日常的に使っているアカウントの情報を家族と共有し、デジタル遺品の整理を進めてみてはいかがでしょうか?