理事長コラム「ススメのひらき」~wakuwaku

ポケットで光る長方形――私たちが十数年親しんできた「スマホ」は、いま次の姿を模索しています。近い将来、画面が折り紙のように曲がり、眼鏡のレンズに情報が浮かび、壁や机へホログラムを投影するかもしれません。
中身も同じく、アプリは無くなり、AI が“気配り上手な執事”としてその瞬間に最適な情報を表示してくれる。そんな、SF映画のような世界が見えてきました。変化の速さに戸惑うより、「面白そう!」と手を伸ばす好奇心こそが、次の便利と楽しさを連れてきます。
今月のコラムでは、進化するスマホの“これから”を覗き込みながら、デジタルを自分らしく取り込むヒントを探っていきましょう。
コラムの内容を音声で聞いてみよう!
ハードウェアの進化:ポケットから“空間”へ

スマホの進化は、端末の小型化競争を越え、周囲の空間そのものをスクリーン化する段階へ。折りたたみ画面、眼鏡型デバイス、ホログラフ投影など“持つ”から“まとう”へ変わる最新ハードをのぞいてみましょう。
折りたたみ&ロール式ディスプレイ:畳むと定期券サイズ、広げればタブレット大。カフェで地図を拡げてルートを確認、会計時には胸ポケットにスッと収納できる軽やかさです。
眼鏡型デバイス:レンズ越しに字幕や進行方向の矢印がふわりと浮かび、視線でスクロール、まばたきでシャッター。“ながら見”がついに両手を完全解放します。
ホログラフ投影:机の上に立体カレンダー、壁には2メートル級のシアター。空中ジェスチャーでサイズも位置も自由自在、引っ越しより早く模様替えが完了。
さらに、体温や血圧を常時計測するバイオセンサー、空気質を解析する環境センサーも一体化し、通知は“空気の振動”のようにそっと届く。
こうしてスマホは“持つガジェット”から“まとうインフラ”へ――私たちの日常と溶け合い、空間そのものがスクリーンになる世界が目前です。
ソフトウェアの進化:アプリが消え、AIが残る

スマホの中でアイコンを探し回る――そんな動作は、あと数年で「懐かしい操作」になるかもしれません。これからの端末は、ユーザーが「したいこと」をひと言伝えるだけで、AI が裏側で必要な機能を即席メニューのように組み立て、最適な情報と操作パネルを提示します。画面に並ぶ“アプリの山”は、もはや博物館行き。主役は常に伴走するAIそのものです。
● AI OS:スマホの“心臓”が入れ替わる
従来 OS はアプリを管理する土台でしたが、次世代は AI が OS そのものに溶け込みます。音声でもテキストでも「来週の出張まとめて」と頼めば、交通と宿の比較、同行者への共有、経費精算の下書きまで一括処理。アプリの壁を溶かし、裏方連携を自動化します。
● 状況認識サービス:今を読んで先回り
カレンダーの予定、位置情報、体調データ、周囲の音や明るさ――端末が集めるあらゆる情報を“いまの状況”としてまとめ、AI が状況に合わせて、必要な情報や操作ボタンを即座に表示します。雨雲が近づけば次のバス時刻が表示され、満員電車を避けるルートへ自動で切り替え。ユーザーは操作を意識する間もなく、スムーズに次の行動へ移れる。
● アプリレス体験の実例
- カフェに入ると、眼鏡型デバイスの隅に「本日のおすすめ」が浮かび、視線で選ぶと決済完了。
- 旅行先の駅で「昼ごはん 地元名物」とつぶやくと、AIが混雑度と口コミを加味して候補をチャット形式で返信。
- 健康診断前週になると、食事ログと連動して塩分・糖質を自動アドバイス。
アプリを開く手間が消え、AI が生活のリズムそのものを読み取りハンドリングする時代。ユーザーが覚えるべき操作は減り、楽しむ時間は増える。そんなソフトウェアの進化こそ、次章で紹介する“ワクワクする日常の変化”を支える屋台骨なのです。
生活がどう変わる?──五つのワクワクシーン

では、進化したスマホが日常をどう彩るのか。五つのワクワクシーンをのぞいてみましょう。
- 壁レシピ ― キッチンの壁にAIがレシピを投影。声でページ送り、手は小麦粉まみれでも操作いらず。
- 花博士 ― 散歩中、眼鏡の片隅に季節の花の名前と豆知識が自動表示。思わず足取りが軽くなる。
- ポケットシネマ ― 折りたたみ画面を広げて即席映画館。帰りの電車があっという間にエンドロール。
- 早期サイン ― リストバンド型センサーが睡眠中の心拍変化を検知し、翌朝「今日は早めに休んで」と優しく提案。
- 直感旅 ― 休日の朝「海が見たい」とつぶやくと、AIが空席・天気・予算を組み合わせ日帰りプランを提示。気づけば切符も手配済み。
どの場面にも共通するキーワードは“操作より体験”。画面を探す数秒が消え、いつの間にか体験そのものへぐっと深く潜り込んでいる――それこそが次世代デジタルツールが私たちにもたらす最大の魅力と言えるでしょう。
変化を味方にする三つのヒント

新しいガジェットを追いかけること自体が目的ではありません。大事なのは、変化を取り込んで暮らしをもっと面白くすること。そのための三つのヒントを、今日から実践できる形で挙げてみます。
- 興味を持つ――まずは“へぇ”を口にする
家電量販店に寄ったときは、スマートウォッチや VR グラスなどデジタルガジェットのコーナーをのぞいてみましょう。実際に触ってみて確かめる体験が「自分も使ってみたい!」の火種になります。さらに関連ニュースは日常的にウォッチし、小さな技術の話題にも「へぇ」と反応する癖をつけると、変化にぐっと強くなります。 - 学び続ける――質問は人にぶつける
動画で独学するのも有効で、特に YouTube には新しい技術やサービスを分かりやすく紹介するレビュー動画が豊富です。短時間で概要をつかめるので、気になったポイントはメモしておき、友人との情報交換で疑問をぶつけてみましょう。「こんな使い方があるんだ!」という発見は、人と話すことでしっかり身につきます。好奇心を共有して楽しみましょう。 - 遊び心を忘れない――失敗をネタに変える
ミスやタップ間違いで機械から思わぬ反応が返ってきても、笑い話に変えてしまいましょう。デジタルの多くは“取り消し”ができます。上手にできなくても気にしない――挑戦した事実こそが次の発見の種です。失敗ごと楽しむ軽さが、新機能との距離をぐっと縮めてくれます。
好奇心、学習仲間、遊び心――この三つの“持ち物”さえあれば、技術の進化は怖い壁ではなく、追い風のようにあなたの背中を押してくれるはずです。
おわりに

スマホは『ポケットの小窓』から、いつでも寄り添う“デジタル相棒”へと進化しています。折りたたみ画面も、AI 執事も、最終目的はただ一つ──私たちの日常をもっと楽しく、心地よくすること。技術の波は待ってくれませんが、乗りこなすコツは案外シンプルです。興味を持ち、学びを続け、失敗さえ笑って受け止める。その三拍子がそろえば、未来のガジェットは味方になり、暮らしのワクワクは際限なく広がります。
次にスマホを手に取ったとき、ぜひ「この小さな窓の向こうには、どんな景色が待っているだろう?」と想像してみてください。その瞬間から、未来はもうあなたのポケットの中。さあ、軽やかな好奇心を携えて、デジタルと共にワクワクな一歩踏み出しましょう。