理事長コラム「ススメのひらき」~スーパーばぁーちゃん若宮正子さん

若宮正子さんとツーショット
若宮正子さんとツーショット

みなさん、こんにちは。デジサポの友次です。

先月、福岡市で開催されたイベントで、世界最高齢のプログラマーとして知られる若宮正子さんとご一緒させていただきました。

現在91歳の若宮さん、親しみを込めて「マーチャン」と呼ばせていただいていますが、お会いするたびに、その溢れる好奇心とエネルギーに圧倒されます。

60歳からの挑戦、そして世界へ

マーチャンの歩みは、まさに「デジタルが広げる可能性」そのものです。

銀行を定年退職された後、60歳からパソコンを独学で始められました。
当初は「家から出ずに誰かとおしゃべりしたい」という、身近な思いからだったそうです。

その後、81歳でシニア向けアプリ「hinadan(ひなだん)」を開発。これがアップル社のティム・クックCEOの目に留まり、世界会議に招待されたのは有名なエピソードです。さらに82歳では国連でスピーチを行い、「デジタルスキルは高齢者の孤独を防ぎ、人生を豊かにする」と世界に発信されました。

そんな世界を股に掛けて活躍するマーチャンですが、実はデジサポとも深いご縁があります。2022年10月には、私たちの地元・愛知県尾張旭市での講演会にもご登壇いただきました。当日は90名を超える市民の皆様が集まり、「高齢者=老い」ではなく「進化し続ける」姿に、会場全体が熱気に包まれたのを今でも鮮明に覚えています。

そんなマーチャンと、私はSNSやビデオ通話といった「オンライン」でも、直接お会いする「オフライン」でも交流させていただいています。今回、お話しする中で私の心に深く刺さったのが、今回のコラムの主題でもあるこの言葉です。

「デジタルで学び、アナログで深める」

オンラインとオフラインの役割を知る

服部真湖(マコ)さんと
マコさんとは今回が初めてでしたが、とても気さくに接してくださり、楽しくお話しさせていただきました

この「デジタルで学び、アナログで深める」という考え方を実践するために、まずは土台となる二つの言葉の役割を整理してみましょう。

  • オンライン(デジタル):インターネットに繋がっている状態。スマホでの検索、SNS、ビデオ通話など、情報の「入り口」です。
  • オフライン(アナログ):ネットから離れた「現実の世界」。直接会う、手作業、五感での体験など、心の「目的地」です。

スクロールできます
項目オンライン(デジタル)オフライン(アナログ)
役割「可能性の入り口」「豊かさの目的地」
得意なこと効率よく情報を集める、遠くと繋がる五感で体験する、空気感を味わう
具体例SNS、検索、ビデオ通話、チケット予約対面、手作業、旅行、散歩、食事


どちらが優れているかではなく、「オンラインで準備をし、オフラインで人生を彩る」という使い分けが大切なのです。

91歳の「てっちゃん」が見せてくれる最高のバランス

若宮正子さんと服部真湖さんの講演会
立ち見が出るほどの盛況ぶり
マーチャンと服部真湖(マコ)さんの講演の様子 立ち見が出るほどの盛況ぶり

この使い分けを見事に実践されているのが、鉄道好き、いわゆる「てっちゃん」でもあるマーチャンです。

今も講演活動で日本中を飛び回っていますが、今でもお一人で新幹線や電車を乗り継いで移動されています。スマホを駆使して時刻表を調べ、チケットを手配する姿はまさに「オンライン」の達人。

でも、目的地へは必ず自分の足で向かいます。
オンラインで講演を済ませることもできるはずですが、マーチャンはあえて「オフライン」の移動を楽しまれます。

車窓から見える景色、その土地の空気、そして何より直接人とお会いすること。
まさに、デジタルという「入り口」を抜けて、アナログという「本物の体験」に触れに行っているのです。

入口はデジタル、楽しみはアナログ

若宮さんのエクセルアートで作った柄のポシェット
マーチャンがエクセルアートで生み出した柄を使った、裏地付きのポシェット。
オードリー・タンさんも、この柄と同じシャツを着ているそうです。
エクセルアートとは→https://marchan.my.coocan.jp/excel_art/excelart.htm

マーチャンの言う「デジタルで学び、アナログで深める」とは、私たちの日常でもすぐに応用できます。

例えば、スマホ(オンライン)で新しい手芸の編み方を調べ、動画でコツを学びます。
そして、実際に自分の手(オフライン)で毛糸に触れ、一針ずつ編み進めながら、その感触をじっくりと楽しむ。

あるいは、オンラインで遠くの友人と旅行の計画を立て、オフラインで実際に会って食事をしながら、その場の笑顔を共有する。

デジタルは、私たちの可能性を広げる素晴らしい「入り口」です。でも、その先にある「実際に体験して、感じて、楽しむ」という五感を使った豊かな時間は、やはり現実の世界にあります。

好奇心こそが「一番の薬」

「好奇心を持って毎日を楽しく過ごす」
これはマーチャンの考えであり、私自身のポリシーでもあります。

私の著書『4ステップでできる!70歳からスマホ上手になれる本』の根底にも、この想いがあります。スマホの操作を覚えること自体がゴールではありません。スマホという道具を「入り口」にして、自分のやりたいことを見つけ、毎日をワクワクして過ごしていただきたいのです。

90歳を超えても軽やかに新幹線を乗り継ぎ、二つの世界を行き来するマーチャンのように、私たちも「これ、面白そう!」という好奇心の翼を広げてみませんか?

デジタルという便利な道具を味方につけて、あなたの「リアルな毎日」がもっともっと楽しくなるように。そんな心地よい使い分けのヒントを、これからもみなさんと一緒に考え、皆様の豊かな暮らしを支え続けていきたいと思っています。

世界最高齢プログラマーが、自分の頭で考えない日本人にズバリ物申す【和田秀樹×若宮正子①】 老いてこそデジタルを。 やりたいことの見つけかた-89歳、気ままに独学 (単行本)