理事長コラム「ススメのひらき」~ノイズ

皆様、こんにちは。
生成AIの進化が止まらないですね。
文章だけではなく、画像や動画、音楽までも瞬時に作られ、人がつくったのか、AIが作ったのか、見分けが難しくなっています。
私自身、日々の文章整理やアイデア出しに生成AIをよく活用しています。その便利さは圧倒的で、「もうAIのない頃には戻れない」と感じるほどです。
生成AIは、膨大なデータから、多くの人が納得する「高い平均点」の答えを瞬時に出してくれます。
しかし一方で、世の中の文章やデザイン、企画、さらには考え方までが少しずつ似通っていき、全体の「均一化」が進むのではないかという懸念もあります。
美しく整っているけれど、どこかで見たような気がする――。
そんなものがあふれる時代だからこそ、私は「ノイズ」、良い意味での「引っ掛かり」が大切になると考えています。
心に残るのは、完璧さよりも「引っ掛かり」
心を動かされ、なぜか忘れられないものを思い浮かべてみてください。 それは完璧に整ったものよりも、少しセオリーから外れていたり、歪んでいたりするものではないでしょうか。
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整った歌声の中に混ざる、わずかなかすれ声
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新しい建物が並ぶ街角に、ぽつんと残る古い看板
こうした小さな「引っ掛かり」に、私たちは人間らしさや、その人や場所にしか出せない「色」を感じ取ります。
生成AIがつくる高い平均点の答えも、綺麗な街角のようなものかもしれません。整って歩きやすい。でも少し味気なく感じる。
では、生成AIを活用しながら、自分らしい「色」を出すにはどうしたら良いのでしょうか?
その鍵になるのが、「良いノイズ」だと考えています。
良いノイズは「アナログな体験」から生まれる
生成AIに掛け合わせる「良いノイズ」は、どこから生まれるのでしょうか。私は、自分自身のリアルな体験や経験から生まれると考えています。
自分で足を運び、目で見て、手を動かす。初めてのことに挑戦し、ときには失敗して冷や汗をかく。予定通りにいかず「困ったな」と思った経験ほど、なぜか後まで鮮明に覚えているものです。
そうした体験の中で感じた違和感や驚き、戸惑いが、自分の考えを揺さぶり、新しい視点をもたらします。それが、良いノイズの原石になります。
生成AIは合理的でスマートな答えをくれますが、私たちが体験したときの温度感や、失敗したときの悔しさを持っていません。
だからこそ、自分の体験から生み出した良いノイズを、生成AIに掛け合わせることが大切になります。
生成AIの答えに自分らしさが加わったり、思っていなかった新しい発想が生れたりするのではないでしょうか。
デジタルが進むほど、体験の価値は跳ね上がる
デジタル化が進むと、アナログな体験は不要になると思われがちです。
しかし、私はむしろ逆だと考えています。
デジタルが浸透し、誰もが高い平均点を出せるようになるほど、実際に見て、試して、失敗する体験の価値は高くなります。
効率を求めて生成AIを使う時代に、効率の悪い体験が大切になる。なんとも不思議な関係です。
これからの時代に求められるのは、単に生成AIを上手に使うことだけではありません。 「自分がどんな体験を重ね、どんなノイズを自身で生み出せるのか」 です。
自らの体験から生まれた良いノイズを混ぜ込むことで、生成AIの出した無機質な回答は、世界に一つだけの「自分の答え」へと変わっていくのだと思います。


