理事長コラム「ススメのひらき」~冴えるAI利用

生成AIが、いま世界を大きく変えつつあります。私も日々の仕事で欠かさず使っています。文章作成、リサーチ、データ分析、画像生成、もはや無くてはならない存在で、これなしでは業務が回らないほどです。
最近は、自分の考え方を生成AIの“クセ”に合わせているような気がして、「このままで大丈夫だろうか」と感じることもあります。

「AIを使うと頭が鈍くなるのでは?」――そんな声を耳にします。確かに、何でもかんでもAI任せにすると、自分で考える機会が減るのは事実。でも、それはAIそのもののせいというより、使い方の問題です。

そこで今月のコラムは、AIとの関わり方についてお届けします。

コラムの内容を音声で聞いてみよう!

科学も注目する“省エネ脳”

「Google効果」という現象があります。これは、必要な情報そのものを覚えるのではなく、“どこでその情報を探せるか”を覚える傾向のこと。たとえば、歴史の年号を丸暗記するのではなく、「あの出来事はネットで検索すればすぐ出る」という“探し方”だけが記憶されるようになる状態です。AIはその検索さえ省いてくれるため、脳は省エネになりがちです。
出典:Sparrow, Liu, & Wegner (2011). Google Effects on Memory: Cognitive Consequences of Having Information at Our Fingertips. Science, 333(6043), 776–778. https://www.science.org/doi/10.1126/science.1207745

AIは睡眠薬か、元気の出るコーヒーか

漠然と「鈍る」と言っても意味はあいまいです。ここでは3つに絞ってみます。

1.記憶力低下(覚えなくてもAIが答えてくれる)
例:電話番号を暗記せず、スマホの連絡先だけを頼りにするようになる。
2.思考力低下(考える前に答えが届く)
例:歴史の結果だけ覚えて原因や経緯を知らない。
3.判断力低下(AIが言うことを“正しい”と信じてしまう)
例:AIが出した偽の健康情報をそのまま信じてしまう。

この3つが重なれば、脳はほぼ“他人任せ”の状態になります。

一方、AIには、こんな良い面もあります。

・情報整理や調査のスピードアップ(必要な情報にすばやくたどり着ける)
例:旅行計画の候補地をすぐ比較できる。
・不得意分野を補う下支え(苦手なことをAIがカバーしてくれる)
例:英語が苦手でも翻訳で海外情報を理解できる。
・発想の幅を広げる刺激源になる(自分だけでは思いつかない視点をくれる)
例:趣味に新しいテーマを提示してくれる。

つまり、同じAIでも、使い方次第で脳をまどろませる睡眠薬にも、冴えさせるカフェインにもなります。

“共同作業”が鍵

AIは、眠気を誘う“睡眠薬”にも、目が覚める“元気の出るコーヒー”にもなります。
大事なのは、AIを「考えるためのパートナー」として使うこと。答えをもらったら、「なぜそうなるか?」と自分でも考え、一緒に深める。これがAI時代の“脳の元気の出し方”です。

参考:主な生成AI

※無料で使えるものもあれば有料プランのみのものもあります。利用の際は、料金や利用条件をよく確認してから使いましょう。