理事長コラム「ススメのひらき」~タダより高い物はない?
スマートフォンやパソコンを使ってインターネットを利用する際、さまざまなサービスが無料で提供されています。例えば、YouTubeでは様々な動画を無料で視聴することができます。100回動画を視聴しても無料です。また、Yahoo!やGoogleを使って検索する際にもお金を支払っていません。
では、なぜこれらのサービスは無料で提供されているのでしょうか?
今回のコラムでは、デジタル世界におけるビジネスモデルに焦点を当て、インターネット上で提供される多くのサービスがなぜ無料なのかを解説します。
1.広告収入によるビジネスモデル
インターネット上で提供される無料サービスの一つのビジネスモデルは、広告収入によるものです。
例えばYouTubeです。YouTubeは、個人や企業が撮影した動画を投稿し、その動画を世界中の人が視聴できるサービスです。では、なぜYouTubeの動画は無料で視聴できるのでしょうか?
実は、YouTubeは広告収入を主な収益源としています。あなたがYouTubeを視聴している際に、広告が表示されることがありますよね。これらの広告は、企業やブランドがYouTube上で自分たちの商品やサービスを宣伝するために掲載しているものです。広告主はYouTubeに広告料を支払い、それがYouTubeの収益になります。
多くの人がYouTubeで動画を視聴することで、広告主は多くの視聴者に対して宣伝効果を期待しています。ユーザーは無料でYouTubeを利用する代わりに、広告を見ることで広告主に対して価値を提供しているのです。
このように、広告収入によるビジネスモデルでは、無料で利用できるサービスを提供する代わりに、利用者が広告を目にすることで広告主に価値をもたらしています。広告はサービスの一部となり、広告主とユーザーの両方にメリットをもたらす仕組みです。
ちなみに「ユーチューバー」とは、YouTubeが広告主から得る広告収入の一部を動画制作者に支払い、その支払いで収入を得ている人のことを指します。
2.フリーミアムモデル
フリーミアムモデルは、一部のサービスが無料で提供される一方で、追加の機能や特典を有料で提供するビジネスモデルです。
例えば、料理レシピサービスの「クックパッド」をご存知でしょうか?クックパッドは、数百万のレシピを閲覧することができるサービスです。ほとんどのレシピは無料で閲覧できますが、人気のあるレシピやプロのレシピは閲覧できません。
クックパッドではプレミアム会員という有料プランが提供されています。このプランに加入すると、一切の制限なくレシピを閲覧できます。さらに、お気に入りレシピの保存機能や毎日の献立を提案してくれる機能など、さまざまな特典が付いてきます。
このように、フリーミアムモデルでは、無料で基本機能を提供しつつ、有料プランにアップグレードすることで追加の価値や便利さを享受することができます。ユーザーは無料プランを試してみて、サービスの価値を実感した後に、有料プランにアップグレードすることができるのです。
フリーミアムモデルは、無料で利用できる基本機能に魅力を感じたユーザーが有料プランにアップグレードすることで、追加の収益を得るビジネスモデルです。
YouTubeの広告を表示しない「YouTubeプレミアム」という有料プランも、フリーミアムモデルの一例です。
3.データ収集と個人情報の活用
一部のサービスは、利用者のデータや個人情報を収集し、広告のターゲティングやマーケティングに活用しています。
例えば、検索エンジンの「Google」は、ユーザーが検索したキーワードや閲覧履歴、端末情報などのデータを収集します。このデータは、個々の利用者が関心を持つトピックや傾向を把握するために利用されます。Googleは、収集したデータを分析し、個々のユーザーに適切な広告を表示したり、検索結果をパーソナライズ(個人に最適化)したりすることで、より良いユーザーエクスペリエンスを提供します。
「旅行の準備にホテルを探すために検索をしたらと旅行サイトの広告が表示されはじめた」「ダイエットについて検索をしたら健康食品の広告が表示されはじめた」という経験があるかもしれません
また、オンラインショッピングの「Amazon」も、利用者が購買履歴や閲覧履歴、レビューや評価などのデータを収集します。これにより、Amazonは個々の利用者に対してパーソナライズされた商品の推薦や関連商品の表示を行い、購買体験を最適化します。
これらの例から分かるように、データ収集と個人情報の活用は、利用者に合わせたカスタマイズやパーソナライズを実現するための重要な要素です。サービス提供者は、利用者の行動パターンや嗜好を把握することで、広告のターゲティングや個別の提案、サービスの改善などに活用します。
ただし、データ収集と個人情報の活用にはプライバシーとセキュリティの重要性も関わってきます。サービス提供者は、利用者の個人情報を適切に保護し、個人情報保護法や規制に従ってデータを取り扱うことが求められます。
まとめ
インターネット上で提供される無料サービスは、広告収入、フリーミアムモデル、データ収集と活用などのビジネスモデルによって成り立っています。利用者は無料でサービスを利用する代わりに、広告を見たり、有料プランにアップグレードしたりすることで、企業や広告主に価値を提供しています。ただし、個人情報の取り扱いには注意が必要であり、プライバシー保護に努めながらインターネットを利用することが重要です。利用しているサービスがどのような会社によって提供されているのか、信頼ができるのかにも注意を払い、仕組みを理解して上手に利用しましょう。