理事長コラム「ススメのひらき」~フィルターバブルからのエコーチェンバー

インターネットやスマートフォンは、私たちの生活を便利で豊かにしてくれます。情報収集も簡単になり、世界中の人と繋がれるようになりました。しかし、便利なツールには落とし穴も潜んでいます。

今回は、「フィルターバブル」と「エコーチェンバー」という二つの言葉についてご紹介します。聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は私たちの知らず知らずのうちに影響を与えている可能性があります。

フィルターバブル(あなただけの情報世界)

インターネットでは、検索履歴や閲覧サイトに基づいて、あなたにとって興味深い情報が優先的に表示される仕組みがあります。まるで泡のように、あなただけに見せたい情報で包み込むことから、「フィルターバブル」と呼ばれています。

例えば、猫好きの人が猫の動画や記事ばかり閲覧していると、猫関連の情報しか表示されなくなり、他の動物や社会問題などの情報に触れる機会が減ってしまいます。

エコーチェンバー(同じ意見ばかりのこだま)

SNSでは、自分と似た考えを持つ人同士が繋がりやすく、同じ意見ばかりが行き交う空間が生じます。まるで山奥でこだまが響くように、自分の意見が反響し、強化されることから、「エコーチェンバー」と呼ばれています。

例えば、政治的な意見交換のグループに参加していると、自分とは異なる意見を持つ人との交流が減り、特定の政治思想に偏ってしまう可能性があります。

フィルターバブルとエコーチェンバーの落とし穴

情報偏重:視野が狭くなる
フィルターバブルやエコーチェンバーに閉じ込められると、多様な情報に触れる機会が減り、視野が狭くなってしまいます。異なる意見や考え方を理解することが難しくなり、偏見や誤解を生む可能性があります。

誤情報:デマに惑わされる
真偽が不確かな情報や、意図的に作られたデマが、フィルターバブルやエコーチェンバー内で拡散されることがあります。情報源の信頼性を確認せず、鵜呑みにすることで、誤った知識や考え方を身につけてしまう可能性があります。

分断:対立を生む
自分と異なる意見を持つ人への理解が深まらず、対立や分断が生じる可能性があります。異なる意見を持つ人との建設的な議論や相互理解が難しくなり、社会全体の分断に繋がる恐れがあります。

情報化社会を生き抜くためのヒント

情報源の多様化:色々な情報に触れる
特定のサイトやアプリだけに頼らず、異なる視点や考え方を提供する情報源を積極的に探しましょう。新聞、テレビ、書籍など、様々なメディアを活用することも有効です。

情報の真偽確認:鵜呑みにしない
情報の信頼性を確認するために、以下のポイントを意識しましょう。
情報源:信頼できる機関や専門家による情報か?
客観性:偏った意見や主観に基づいていないか?
裏付け:複数の情報源で同じ情報を確認できるか?

異なる意見との対話:自分の意見をアップデート
自分とは異なる意見を持つ人との交流を積極的に行い、多様な視点を取り入れましょう。SNSのグループだけでなく、地域活動やボランティア活動に参加するのも有効です。

まとめ

フィルターバブルやエコーチェンバーは、情報化社会における落とし穴です。しかし、情報源の多様化、情報の真偽確認、異なる意見との対話といった対策を講じることで、これらのリスクを回避することができます。

情報化社会を安全に楽しむためには、常に学び続ける姿勢を持ち、ネットリテラシーを高めることが重要です。